立体感や動きまで遊び心豊富に描く、ペン画の新鋭
ケント紙や色紙を支持体に、ミリペンを手にするだけで驚異の精度で仕上げていくペン画の世界。Y.Yさんはその世界において期待の新鋭と言われる存在です。爬虫類や鳥、動物など、人間たちがつい見とれてしまうフィギュアや毛並み、力強さなどを備えたモチーフを、愛おしむように丁寧に描きこんでいきます。その構成にはまるで俳句のように、季語やダブルミーニングなど風雅な遊びの要素が巧みに隠しこまれており、視線をいつまでも離さない、そんな細密画なのです。人気が高いものの、とかく平板になりがちなこのペン画ジャンルで、彼女は筆ペンや墨汁をも援用することで陰影を深め、立体感や動きまでをユーモラスに表現。今回の仙台四郎展では、彼女お得意の鷹やカエルに例えつつ、吉兆を細部にまで吹き込んだ硯屏（けんびょう）置きが似合う色紙絵として描き下ろしました。
profile
1993年、大阪府生まれ。2017年、京都大学文学部を卒業。名古屋を拠点に創作を続け、おもに関西・中部地方でのアートイベントや公募展での作品発表を中心に活動中。最近の個展に「点と線の賑わい」（2018年、京都・ギャラリーまほら）がある。また「アート実験室」（2013～2017年、大阪・Gallery hokk）などグループ展にも精力的に参加。第103回二科展 デザイン部入選（2019年）、第39回三菱商事アート・ゲート・プログラム入選（2018年）など受賞歴多数。