「まさか」の物語性が彩る比類ない世界観
少女たちをメインモチーフにしながら、私たちの日常と空想の行間に横たわっている微妙な情感を丁寧な筆使いで描き続けている、菅野麻衣子さん。絵の人物たちは子どものような身体バランスを持ちますが、それらは自身の分身のようであり、老若男女問わず共感できる一人芝居を演じて魅了するように見るものの心へ入り込んでいきます。絵のシーンの前後に長い物語性が感じられ、深読みしたくなるディテールが満載。アクリル絵具によるオーソドックスで鮮烈な塗りと、見るものをワクワクさせるカラー設計、そして着想豊かな構図の掛け合わせにより比類のない世界観を構築しています。仙台四郎展には第1回から参加いただき、横になって休んでいる仙台四郎、だるまになった仙台四郎など、「まさか」の物語設定が光るかわいい肖像を出展していただきました。
profile
1983年、宮城県生まれ。2006年、東北生活文化大学生活美術学科を修了。以後、精力的に作品制作と国内外での展示活動を展開中。ロックバンド「Brian the Sun」のCDジャケットや仙台市交通局のICカード乗車券「イクスカ」の券面デザインでも知られる。近年の個展に「漂流ページ」(2018年、恵比寿AL)、「ハーフの会」(2019年、晩翠画廊)など。2018年、佐々木喜善賞(遠野文化奨励賞)を受賞。